FXスワップサヤ取り(アービトラージ)を行う際、必ず考慮すべき要素の一つが「スプレッド(取引コスト)の回収日数」です。これは、ポジションを建てる際に発生するスプレッドを、スワップポイントの受け取りで何日で回収できるかを示す指標です。
1. スプレッドとは?
FXにおけるスプレッドとは、売値(Bid)と買値(Ask)の差額のことを指します。スワップサヤ取りでは、2つのFX業者間でスワップポイントの差を利用するため、エントリー時には両方の業者で同時に取引を行います。その際、それぞれの業者でスプレッドが発生するため、これが実質的な取引コストとなります。
2. スプレッドの回収日数の計算方法
スプレッドの回収日数は、以下の式で求められます。
スプレッドの回収日数(N)= スプレッド ÷ 1日あたりの純スワップ益
例えば、以下のようなケースを考えます。
- A社の買いスワップ:+10円
- B社の売りスワップ:-6円
- 1日あたりの純スワップ益:4円(= 10円 – 6円)
- A社のスプレッド:2pips(200円)
- B社のスプレッド:2pips(200円)
- 合計スプレッドコスト:400円
この場合、
N = 400円 ÷ 4円 = 100日
となり、100日間ポジションを保持すればスプレッドコストを回収できることになります。
私の場合は、スプレッドコストの回収期間は基本的には「30日以内」としています。例外的に「60日前後」の場合もあります。
例えば、メキシコペソ円(MXN/JPY)10万通貨取引の場合。
※2口座のスプレッド、スワップ
GMO外貨「原則固定スプレッド(0.2銭)」「買いスワップ(240円)」
みんなのFX「原則固定スプレッド(0.3銭)」「売りスワップ(-191円)」
合計で「0.5銭」のスプレッドです。
※10万通貨換算
スプレッド0.5銭=500円
スワップ差額(サヤ)=49円「買いスワップ(240円)- 売りスワップ(-191円)」
※スプレッドコスト回収日数=500円÷49円=10.2(約11日)
※2025年2月11日
メキシコペソ円(MXN/JPY)スプレッド、スワップポイントデータを元に計算してます。
3. 回収日数を短縮する方法
スプレッドの回収日数を短縮するには、以下のような工夫が必要です。
- スプレッドが狭い業者を選ぶ
- 取引コストを抑えることで、回収日数を短縮できます。
- スワップポイントの差が大きい組み合わせを選ぶ
- スワップポイントの差が大きいほど1日あたりの利益が増えるため、回収が早くなります。
- FX業者によって固定スプレッドと変動スプレッドの2種類が存在する
- 固定スプレッド: 取引コストが一定で、相場の変動に影響されにくい。
- 変動スプレッド: 市場の流動性や時間帯によってスプレッドが変化する。特に経済指標発表時などには広がることがある。
- キャンペーンを活用する
- FX会社がスプレッド縮小やスワップポイント増額のキャンペーンを実施しているタイミングを活用するのも有効です。
4. まとめ
スワップサヤ取りを成功させるには、スプレッド(取引コスト)をどのくらいの期間で回収できるのかを事前に計算し、適切な業者を選ぶことが重要です。スプレッドが広すぎると回収日数が長くなり、リスクが高まるため、常にスプレッドとスワップポイントのバランスを考慮して取引を行いましょう。